― “もったいない”との決別 ―
クローゼットを開けるたびに思っていました。
「いつか着るかも」「高かったから捨てられない」。
でも、その“いつか”はなかなか来ないものです。
着ていない服が多いのに、
「もったいない」という言葉で見て見ぬふりをしていた時期がありました。
けれど、ある日気づいたんです。
“もったいない”の正体は、服への愛着ではなく、
自分への罪悪感だったことに。
そこから少しずつ、整理を始めました。
「着られる」ではなく「着たい」で選ぶように。
シーズンごとに見直しては、
一枚ずつ、手放すたびに心が軽くなっていくのを感じました。
服を減らしていくと、不思議と朝の時間が穏やかになりました。
どれを着るか悩む時間が減ると、
そのぶん“今日どう過ごすか”を考える余裕ができる。
クローゼットを整えることは、思考を整えることでもあったのです。
「朝の5分が変わると、1日が変わる。」
これは、自分の中でずっと残っている言葉です。
服の枚数が減るほど、
“選ぶ”ではなく“決まっている”安心感が増えていく。
毎朝クローゼットを開けたとき、
そこにある服が、すべて「落ち着く服」だったら。
それだけで、もう十分でした。

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