母の入院①

母が入院して手術を受けた日。
結果としては「手術は成功」だったけれど、その工程の中で少しイレギュラーがあったと兄から聞きました。詳しくは教えてくれず、きっと「今は話す時期じゃない」と判断したのでしょう。私はその気持ちを尊重して、深く聞かないことにしました。
手術後しばらくはICUで経過観察。
その時の母は意識もはっきりせず、口にはチューブ。言葉を交わすことは難しく、ただただ眠っているような姿でした。
でも、子どもを連れていった時だけは違いました。
母は目を覚まし、手を握ってくれたんです。
「元気でいるんだよ」「帰ってくるからね」――そういう思いを、言葉にならなくても伝えようとしてくれているのが分かりました。
手を握り返したその瞬間、ああ生きてるんだな、と。
そして「またここから始まるんだな」と。
そんな母を目の当たりにしている子供がICUから出てすぐに泣きだしました。母には見せないようにと頑張ったんでしょう。
心配を全面に出すと、母がゆっくりできないだろうと。
「おばあちゃん、死なないよね?」
「おばあちゃん、元気になるよね?」
人がチューブだらけでまともに話せない姿をリアルで見る経験なんてほとんどないはずですし。当然の疑問だったと思う。
「もちろん、そのためにここにいる。頑張っている」
「俺たちは祈ることしかできないけど、当たり前に健康で入れてるけど、当たり前じゃないことをしっかり思い出して毎日健康でいよな」
と、健康や当たり前は日常じゃないと話ができたことに感謝しつつ。病院を後にしました。

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