お盆、何してましたか。私は、ほんまだらだらしただけでした。
8日間、ほとんど何もしてない。昼まで寝て、起きて、なんとなく食べて、また横になって。「せっかくの休みやし、明日から」と言い続けて、気づいたら終わってました。ダイエットの記録も、書いたり書かなかったりで、だいぶ怪しい。
で、このシリーズです。前回の#13が6月7日。今日が8月18日。72日、止まってました。
言い訳をひとつだけ許してもらうなら、止まってた72日のあいだに、ひとつだけ拾ったものがあります。記録が止まると、何が起きるのか。これ、続けてるあいだは絶対に分からんことでした。だから今日は、そこから始めます。
結論を1行で
「記録する」は、結果を確認する作業じゃなくて、それ自体が減量に効く介入。しかも効くかどうかは「どれだけ丁寧に書いたか」より「どれだけ何回も触ったか」で決まる。
止めてみて、分かったこと
だらだらしたお盆そのものは、正直そんなに後悔してません。要るときは要る、ああいう日々。
しんどかったのは、そこじゃなかった。記録が止まると、その日が「なかったこと」になるんですよね。
- 増えたのか減ったのか、分からん
- 何をどれだけ食べたのか、二日前でもう思い出せん
- だから「じゃあ明日どうするか」も決めようがない
体重が増えたことが問題なんじゃなくて、判断材料が消えたことが問題だった。数字がないと、自分の生活について何ひとつ言えなくなる。これは想像以上に手応えのない感じでした。
論文1:記録している人ほど、減っている(Burke 2011)
まずは大元になるレビューから。
- どんな研究か……行動療法ベースの減量研究における「セルフモニタリング(自己記録)」を整理した系統的レビュー。1993年〜2009年に発表された論文が対象で、22研究が該当。内訳は食事の記録が15、運動の記録が1、体重測定が6です。
- 結果……セルフモニタリングと減量のあいだには、一貫して有意な関連が見られた。記録の方法はバラバラ(当時いちばん多かったのは紙の日記)でしたが、方向はどの研究も同じでした。
- ただし、著者自身が釘を刺している……「エビデンスの水準は弱い」と書いてあります。理由は方法論上の限界。参加者が白人女性に偏っていること、記録が自己申告に頼っていること。「どれくらいの量の記録が必要か」を確立した研究も足りない、と。
ここ、大事だと思うんです。「記録したら必ず減る」が証明されたわけじゃない。 ただ、どの研究を見ても矢印は同じ方を向いている。私はそれで十分やと思ってます。
論文2:たくさん記録した人ほど、減った(Harvey 2019)
タイトルがもう答えを言ってます。「Log Often, Lose More」=よく記録するほど、よく減る。
- どんな研究か……24週間のオンライン減量プログラムの参加者142人が、ウェブ上の食事記録ツールに毎日入力。「記録に何分かけたか」と「1日に何回開いたか」を実測して、6ヶ月後の減量と突き合わせています。
- 記録にかかる時間は、慣れると減る……1ヶ月目は1日あたり平均23.2分。6ヶ月目には14.6分まで下がっていました。最初はしんどい、でも後半は軽くなる。
- 差がついたのは「時間」じゃなく「回数」……6ヶ月時点で記録を続けていた人のあいだでは、かけた時間の長さでは減量に差が出ませんでした。差が出たのはアクセス回数のほう。5%以上減った人は1日2.4回、減らなかった人は1.6回。10%以上減った人は2.7回、そうでない人は1.7回(いずれもP<0.001)。
これ、私にはかなり刺さりました。夜に机に向かって、一日ぶんをきれいにまとめて書く。あれは自己満足やったかもしれん。 食べた直後に、その場でちょこっと触る。回数が正義。そういう話です。
論文3:体重計に乗るのも「記録」(Madigan 2015/Zheng 2015)
体重測定だけを取り出したメタ解析もあります。ここは数字がきれいに出てるので、そのまま並べます。
- 体重測定「だけ」では、足りない……体重測定を単独の介入として調べた研究は1本しかなく、有意な効果は見られませんでした(−0.5kg/95%信頼区間 −1.3〜0.3)。「乗るだけ」では動かない。
- 行動プログラムに足すと、効く……すでにある減量プログラムに体重測定・自己調整の要素を追加した4試験では、−1.7kg(95%CI −2.6〜−0.8)の有意差。
- 体重測定を含むプログラム全体で見ると……ほぼ介入なしの対照と比べて−3.4kg(95%CI −4.2〜−2.6)(15試験)。
- 毎日でも週1でも、差はなかった……測定頻度の指示(毎日/週1)で有意差は出ていません。
- 効いたのは「アカウンタビリティ」……誰かに報告する・見られる仕組みを含む試験のほうが、有意に減っていました(p=0.03)。
もうひとつ、体重測定については「毎日乗ると病むのでは」という心配がありますよね。そこを調べたレビューもあって、17研究をまとめた結果、定期的な体重測定はより大きな減量と関連しており、抑うつや不安といった心理面の悪化とは関連していなかったと報告されています(Zheng 2015)。もちろん研究によってばらつきはあるので、しんどくなったら測らない日があってええと思いますけど。
自分への応用
私、毎日ブログに体重と歩数を書いてます。あれ、ただの日記のつもりでやってました。今回いろいろ読んで、あれがまさにアカウンタビリティやったんやな、と後から分かりました。読んでる人の顔は見えないけど、「書く」と決めてるから乗る。順番が逆なんですよね。
そのうえで、明日から変える点をひとつだけ。まとめて夜に書くのをやめます。 Harveyの研究が言ってるのは「回数」でした。丁寧さより頻度。食べたその場で、雑でいいから触る。そっちに振ります。
あと、これは自分への確認なんですが——72日止まったことも、お盆にだらだらしたことも、別に反省会をする話じゃないと思ってます。止まったら、また始めたらええ。実際こうして戻ってきてるわけやし。記録の一番いいところって、「何日空いたか」が分かることじゃなくて、空いた次の日から普通に再開できることやと思うんです。ノートは怒ってこないので。
最後にひとつだけ予告を。今、同じように体重を落とそうとしている仲間と一緒に、記録を続けやすくする仕組みをこそこそ作っています。まだ形になってないし、いつ出せるかも約束できません。できたら、ここでまた書きます。
まとめ
- セルフモニタリングと減量の関連は、レビューで一貫して有意。ただし著者自身が「エビデンスの水準は弱い」と明記している(Burke 2011)
- 効いたのは記録の時間の長さではなく回数。5%以上減った人は1日2.4回、10%以上なら2.7回(Harvey 2019)
- 体重測定は「乗るだけ」では有意差なし。行動プログラムに足すと−1.7kg。誰かに見られる仕組みがあるほど効く(Madigan 2015)
- 定期的な体重測定は、抑うつや不安の悪化とは関連していなかった(Zheng 2015)
- 記録が止まって困るのは、太ることより判断材料が消えること。止まったら、また始めればいい
72日空けて戻ってきて、正直ちょっと気まずいんですけど(笑)、書き出したらいつも通りでした。だらだらしたお盆も、たぶん要る時間やったんやと思います。そのぶん、今日からまた測ります。
出典
- Burke LE, Wang J, Sevick MA. Self-monitoring in weight loss: a systematic review of the literature. J Am Diet Assoc. 2011;111(1):92-102.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21185970/ - Harvey J, Krukowski R, Priest J, West D. Log Often, Lose More: Electronic Dietary Self-Monitoring for Weight Loss. Obesity (Silver Spring). 2019;27(3):380-384.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30801989/ - Madigan CD, Daley AJ, Lewis AL, Aveyard P, Jolly K. Is self-weighing an effective tool for weight loss: a systematic literature review and meta-analysis. Int J Behav Nutr Phys Act. 2015;12:104.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26293454/ - Zheng Y, Klem ML, Sereika SM, Danford CA, Ewing LJ, Burke LE. Self-weighing in weight management: a systematic literature review. Obesity (Silver Spring). 2015;23(2):256-265.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25521523/
※この記事は、上の論文・レビューをもとに、私なりに噛み砕いたメモです。数値はあくまで研究上の目安で、効果には個人差があります。医療アドバイスではありません。詳細は原典をご確認ください。
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